パート中に鳴った電話に出て名乗りをあげたところ、「・・・。」相手側が無言だった。
もしもし?と話しかけると「あの・・・人間ですか?」と年配の女性。自動音声と間違われたようだ。
「わたくし、人間です。」と人生で初めてのセリフを言いながら、何だかシュールな面白さが込み上げてきて笑いを堪えながらの対応になってしまった。
防犯上、店舗名のみで個人名を付けないので、余計にヒトなのか機械なのか分からなくなっているのかもしれない。
年配の方はこのデジタル化の過渡期に、すごく苦労しているのかも、と実感したのだが・・・
先日私も、デジタル化についていけないかもしれない、と感じたことがあった。
夫と外食をしたお店。全てスマホからQRコードを読み込んで注文するシステムだった。
注文がスマホからなのは、便利。
何だか知らない世界に迷い込んだような気持ちになったのは、飲み放題を頼んで2杯目、3杯目と、持ってきてくれる店員さんが空いたグラスをさげてくれないことだ。空になったグラスがテーブルの端に増えていっても、見えないみたいにスルー。
ひとりの店員さんがというわけでもなく、入れ替わり立ち替わりスルー。
飲み放題ならば新しいグラスと引き換えに空いたグラスがさげられるもの、と思い込んでいた私たち。
ふと気づくとスマホの中のメニューに【お皿をさげる】項目がある。これをタップしないと永遠にグラスは増えていくみたいだ。
「おお〜時代だね〜」と昭和生まれ夫婦は昭和生まれが言いそうなことを言い合った。
お客さんに言われないのに空のお皿、グラスをさげると苦情が入ることがあるのかもしれない。
私たちと同じ年代であろう店長さん風の男性は、さらっと「空いているグラスさげますね。」と片付けてくれたので、お店の絶対的ルールでさげない訳でもなさそうだ。
これは、【老害】と言われようとも良くないシステムな気がする。学生時代の飲食アルバイトで身につくであろう臨機応変、気働きの芽がデジタルで摘み取られているのでは。数人の店員さんが何も持たず、店内を雑談しながら歩き回っていて、私たちのテーブルには空のグラスがたくさん。
学生バイトさんが社会人になった時に、これは上司の指導が大変じゃないかー?
なんて酔っ払いはぐだぐだ考えていたけど、時代の流れは止まらないし、私たちが上司になる訳でもないし。
数年後には、レストランが省人化から無人化するから気働きなんてものは『昭和遺産』なのかも。何の問題ないのかも。
寂しさと諦めと共に、新しい世界に馴染まないとダメじゃんと誓った中年2人組。


